breath
信用していたのに
裏切られた気持ちになる
「明日美ちゃん、社長が会議室で待っててくれって。今日はもういいから、上がりなさい」
清子さんに言われるがまま仕事を上がり更衣室に行く
制服から私服に着替え、化粧直しをする?
樹と会うのだったらするけど
会わないのだったら帰るだけだししないよね
どちらになるかわからないから、取りあえずする
なんか私って、ややこしい女
せっかく此処まで来てくれたのだから、キチンと会って自分の気持ちを伝えたらいいだけなのに
こんなに悩んでいるのは、揺れているから?
本当は見つけてもらって嬉しい?って思う自分もいるのは確かだ
樹の顔を見て、一瞬そう思っている私がいた
私は会議室で待つ
暖房もつけずコートも着てない
寒いことに気づかないくらい動揺している
私は気づいてしまった
本当の気持ちに
その現実を認めたくなかったのは事実
ずっと胸の片隅にあった思い
子会社にいた時死のうと思った事があった
あの時どうしても最後に樹に会いたくて
樹の顔が見たくてとどまったことがあった
あの後、何度も会ったのに
私は素直にその事を彼に言うことはしなかった
樹がいつも私に対して愛情表現をしてくれる
彼に対して猜疑心とか憎しみの気持ちとかを持っていても彼は私は誠実に接してくれた
いつの間にそれかそれが当たり前って思っていた
当たり前のことではないのに
全部捨ててきて逃げて来てこの地にいる私
最初は後悔なんてしないと思っていた
時間が経つにつれて後悔しか出てこない
みっともない
いい年した女が、衝動的にこんな行動をとるなんて
自分の気持ちを素直に告げた方が良いだろう
もうどっちに傾いても、失うものはないのだから
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