大事にされたいのは君

「分かるけど…それって友達もそうじゃない?」

「違うでしょ、結局友達って二番目じゃん。向こうに相手が出来たら当たり前に後回しにされて、それでも文句言えねーし。俺は常にその人の一番になりたい。それで、その人は俺にとって一番大事な人であって欲しいの」

「…うーん…でもそれって、二番目なのかな。別カテゴリーの一番と一番じゃなくて?」

私の言葉に、彼がピクリと反応した。どういう事?と、ハッと私に向ける瞳の奥に興味が集まっていくのが見えた気がした。

「だって恋人は恋人、友達は友達でしょ?一人の時間を二人で分け合う訳だから時間が減って寂しく感じてしまうのは仕方ないけど、もし一番の友達にして貰えているなら恋人では触れられない部分を自分には見せてくれると思うよ。恋人と何かあった時とか、一番に相談するのは友達でしょ?」

「……」

「それってもうその部分での一番なんじゃないかなって思うんだけど…というか、君にはそういう人が一人と言わず何人も居るように思うんだけど。みんな君に話したいし君の事を知りたがってるし、みんなの一番を独り占めしてるように私には見える…私にはそれが羨ましいよ」

…あれ。私今、余計な事言わなかった?

ポロリと溢れた話すつもりの無かった本音に、自分が驚いた。そう、私は彼の事をすごいと尊敬するのと同じくらい羨ましくも思っている。一人しか友達が居ない私と沢山の友達が居る彼。その一人の友達の一番にもなれない私と沢山の人から一番を貰っている彼。これ以上何が欲しいというのだろうというのが本音であり、そして醜い嫉妬心である。
…あーなんだか、悲しくなってきた。

「私には居ないから、そういう人。だから分からない。ふとした時に私を思ってくれる人なんて居ない。私が今何してるかなんて誰も気にしないし、心配なんてもっとされない。だから君の言う誰かの一番大事になりたい気持ちはすごく分かるけど、友達じゃ足りないからって恋愛にこだわる意味はこれっぽっちも分からない」

だからもうこの話題で君の力にはなれないと、勢いのまま伝えるつもりだったーーそれなのに。

「そっか。吉岡さんも寂しいんだね」

唐突に、ジッと私を見つめる彼が断言した。
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