大事にされたいのは君
ジトリとした視線を私に寄越す三好君に、私は口角をそっと上げて目を泳がせた。私の仕業…なんて言われると答え辛い。別に私が率先して促したりはしていないけれど、三好君は悩み事の相談にはピッタリだ、みたいな事を言った記憶はある…
するともたもたする私の隣でやれやれと、また先程の溜息がこぼれ落ちた。
「ほんと、吉岡さんって変わってるよね」
三好君だ。三好君が諦めたようにそんな事を言う。
「ご、ごめんね、いつも迷惑かけて」
「そんな事は思って無いけど」
「いやだって、いつも三好君に怒られてばっかりだし…最近は瀬良君との事上手く出来な過ぎた所為で呆れて話掛けてくれないのかと…」
「口出す必要ないでしょ」
スパッと言い切るいつもの三好君の、その表情の乏しい事。それが私を責めるものなのか、もしくは会話はこれで終わりという事なのか、言葉からだけではさっぱり分からず、またも返事にモタついてしまった訳だけれど…
「俺は気に入ってるよ、吉岡さんの事」
「だから安心してる」と、続けられた言葉に、理解の為に一拍置いた。置いた後、嬉しさがこみ上げてきて、お礼を言おうと口を開いた瞬間。
「何気に入ってるって、上目線」
立ち直ったのか、唐突に飛び込んできた朋花ちゃんの言葉に一度こみ上げたそれを抑えた。どうやら朋花ちゃんの機嫌は悪い。三好君を下から睨み上げる。
「もっと素直に言いなよ。あんたのそういう所が嫌い」
もう八つ当たりとも言えるような態度で彼に突っかかる朋花ちゃんに、やはりそれにも表情を変えず、視線だけを彼女に送る三好君。ど、どうしたの朋花ちゃんと心の中で慌てふためく私を横目に、三好君は何故か私の方へと向き合った。
「俺は吉岡さん、好きだよ」
「……へ?!」
「だからこれからもあ、」
「でもこれは俺の由梨ちゃんなんだよなー」
三好君の言葉を遮って頭上から聞こえてきたその声は、いつも通りのふざけたやり取りを彷彿とさせるような言いようだった。けれど私にはもう分かる。面白くないと、彼は叫んでいる。
「やめてくれる?人の彼女に」
振り返り、見上げた先にはやはり。不機嫌な瀬良君の登場だった。