大事にされたいのは君
「……」
シンと、静まり返る教室内。瀬良君の一言は然程大きなものでは無かったはずだけれど、その注目度が違った。それもそのはず。だって彼は誰にも執着しない。来る者拒まず去る者追わずを体現したような人だった。以前同じような事があった時もそう。彼の見せる執着に周りはとても敏感で、皆が興味を示すのだ。それだけ、彼は皆からの関心が高い。その相手が私だという答えが出ていても尚、それは変わらない。
そして今、彼の感情の矛先は普段ならこんな風に向くはずのない彼の幼馴染に向けられていて、その幼馴染も普段ならあり得もしないはずの言動だった事実を忘れているかの如く、彼と正面から向き合っていた。
「別に他意はないんだけど」
「なかったらもっと悪ぃだろ」
「そうじゃない。俺は別にこの人の事は好きじゃない。分かるだろ?」
「おまえの面倒臭い所出てるけど、いいのかよ」首を傾げた三好君は丁寧に言葉に重みを乗せるようにして尋ねる。ジッと瀬良君の瞳を見つめて。
「いいんだよ」
その問いに、瀬良君は迷わず答えを返した。
「俺が元々そういう人間だって、もうお互い分かってる。隠してる所なんてもう何もねーし、今更俺が何しようがおまえが何言おうが、由梨ちゃんは離れていかない」
「…それが分かってんならなんでそんな敵意剥き出しなわけ?」
「単純に気に入らないから」
未だに滲み出る不機嫌は、瀬良君を暴君に変えた。
「俺のものに勝手に話しかけんな」