大事にされたいのは君
「え、ち、違う違う嫌いって、そんな事無いよ!本当に無いよ!」
「じゃあ他人が嫌いなの?」
「他人って、そんな事無い!そんな事無い嫌いじゃない!」
「じゃあなんで線引くの?」
「線なんて引いてないよ、引いてるのはみんなだよ!」
あ、また私この話をしているなと、言葉を発する為とは別の所に居る私が気づいたけれど、もう遅かった。
「私に一歩引いてるはみんなだよ、興味ないとか浮世離れしてるとか三好君が言ったんだよ。名前知ってるのかって、知ってるよ!クラスメイトだもん、私を何だと思ってるの」
口からするすると繋がるように出てきた言葉に驚いた。今ここで言うつもりの無かった言葉達。別にそれはそれで受け入れてきた筈なのに、まるで堰き止めていたものが壊れてしまったかのように止めどなく溢れ出てきて止まらないそれら。
「私の何がみんなと違うの?私達と吉岡さんは違うもんねって何?吉岡さんには分かんないよねって何?どうせ分からせてもくれないくせに。分からないって決めつけてるのはいつもそっちだ」
なんでキレてんだろうと、ぼんやり思う私が居るのに口ばかりが忙しく動いている。以前の三好君からの言葉だけならまだしも、過去の他人の言葉までも引っ張られるように浮かびあがって、私の気持ちを煽った。嫌だ、もうやめたいのに。こんなの八つ当たりだ。
なんでこんな事言ってしまうんだ、もう諦めていたのに。線を引かれる人間なのだと、好かれない人間なのだと受け入れていたのに。そうじゃないと傷付くのは自分だから、傷付きたくないから、どうせ私は必要とされない人間だなんてまで自分に言い聞かせて周りから一歩引いて…
…引いて?
ーーあぁ、そうか。
自分を守る為に、線を引いていた。
引いていたのだ。