大事にされたいのは君
その後、朋花ちゃんと二人になった時に、ぜひ一緒に参加してもらう為に今日のお昼の話をすると、「なんで私こういう時に限って部活なんだろう」という返事を頂き、絶望した。「急に瀬良達と食べるなんて何かあったの?」と心配してくれたのに、私にその経緯を説明する心の余裕は一切無かった。もう一度振り返るなんて耐えられない。
「なるべく早く帰れるように頑張るから、帰って来たらどうだったか聞かせてね」
それに頷いて朋花ちゃんを見送ると、私の名前を呼ぶ三好君の声が聞こえて来た。向こうに集まるのは、彼らの中でのいつものメンバー。私は意を決してその中へと向かっていった。
「お、お世話になります」
瀬良君と三好君の席が近い事から、その周辺の席に適当に集まるのが彼らの昼休みの過ごし方だった。他のクラスの生徒が混ざっているので名前を知らない人も居る。それでも彼らはよくこのクラスに集まってきているメンバーなので、顔は見た事があった。たまに女子も混ざっているけれど今日は男子だけで、それに喜ぶべきなのかガッカリするべきなのかも分からないのが今の現状だった。
普段は朋花ちゃんが私の席まで来てくれるので、廊下側の一番後ろの二席を使っていた。朋花ちゃんが居ない時は例の屋上に向かう階段で瀬良君と二人で過ごす為、大人数の中に混ざる昼休みは初めての経験だった。不安と緊張から自然と瀬良君の隣を目指したけれど、ダメだった。いつもの場所として決まっていたのであろうそこはもう埋まっていたので、仕方なしに一つ後ろの席に座った。
「お世話になりますだって!真面目!」
「よろしく吉岡さんー、俺らめっちゃ吉岡さんと話せんの楽しみにしてたから」
「つーか三好が誘ったとかウケんだけど!三好手懐けた女子とか初じゃね?」
「むしろ吉岡さん手懐けた瀬良と三好マジ神。三好さん今回はほんとあざす」
そして「あざーっす!」と、みんなは声を揃えて三好君に頭を下げた。