Vanilla
「それ、買え。今、着てけ」

目の前の朝永さんは私に無表情でそう言うと、横に向く。


「すいません、着てくんでタグ切って下さい」

店員さんには敬語使うんだ。
って、それよりちょっと待って。


「私、買えーー「はい、では後ろ向いて頂けますか?」

『買えません』と言う前に店員さんが来てしまった。
目の前にはニコニコ接客スマイルの鋏を構えた店員さん。

ここでやはり止めますとは言えない雰囲気……。

私は観念して回れ右をする。

私の御褒美のハーゲンダッツ……三年は確実に食べられないな……。

首の後ろに掛けられていたタグを切ってもらう。


「次、これ」
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