Vanilla
「行きたいとこ、行けば?」

目を逸らしたまま素っ気ない答え。

貴方が私を連れ出したんですよ?

それなのに次の目的地は無いのは、私の服を買うために連れ出したんだよね?

それなら最初から服を買ってやるって言ってくれれば良いのに。

高圧的な口調だけれど、実は優しさも持っているのかな?

でも不器用だから、素直に伝えられない。

これが本当の朝永さんなのかもしれない。

でも、高すぎる服。
自分で少しは出したい。


「あの、流石に高すぎるので、私も出します」

「お前、俺の家に上がり込んでんのに、金あんのか?」

「う……」

それを言われると、痛い。
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