Vanilla
「いつか倍返しで請求してやる」

朝永さんは楽しそうに言う。

いつかって、いつ?
請求するならいつまでに払え云々、買ったりしないでしょ。
絶対請求しないでしょ、貴方。

朝永さんがただの不器用な人だと気付いたら、なんだか笑えた。


「服、ありがとうございます。大事にします」

私は素直に御礼を伝えた。


「……あっそ」

すると朝永さんは素っ気ない返事なのに、目を少し泳がせて照れた横顔が見えたから、なんか可愛く見えてきた。

それに可愛い服を着て、オシャレしてショッピングなんて久しぶり。


「朝永さん、ちょっと付き合って下さい」

私は朝永さんの腕を引っ張って歩き出した。
< 135 / 566 >

この作品をシェア

pagetop