Vanilla
家事をこなしてリビングに戻った。
そろそろ朝食を食べないと私も時間がマズいから。
リビングに戻ると朝永さんは居なかった。
どうやら寝室で着替えをしているよう。
自然とホッと息を吐く私。
私は朝食を急いで掻き込む。
食べ終わったところに、朝永さんがリビングへ戻ってきたので、私は逃げるように自分の準備に取り掛かる。
洗面所で着替えて、化粧を終えると、いい時間。
どんどんモヤモヤしていくが、リビングへと戻ることに。
だって仕事に行かないといけない。
朝永さん、先に会社に行ってくれてないかな……?

淡い期待を抱きながらリビングの扉を開いたが、残念ながら朝永さんはリビングに居た。

「会社行くぞ」

私を見るとすぐに言った朝永さん。
気は重いが、ついていくしかない。


マンションのエレベーターが物凄く気まずかった。
だって無言の朝永さんと狭い密室空間に二人きり。

外に出ると安心した。
周りの雑踏のおかげ。
電車に乗るともっと安心出来た。
が、会社の駅が近づくに連れ、朝感じた憂鬱な気持ちが蘇る。
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