Vanilla

私は電車を降りて改札を通ると私は肩を竦めてしまう。

だって朝永さんが手を握ってきたから。

今まで無言だったじゃない。
昨日だって顔すら見てない。
知らないシャンプーの香りがするくせに、私なんて必要……？

そう考えると、胸が突然きゅっと苦しくなる。


「……あの、手を繋ぐ必要、あります？」

思わず我慢出来なくなった私は、朝永さんに投げかけた。

振り向く朝永さんは周りを気にしてか笑顔を携えていた。
裏の顔を知っている私は不気味で仕方ない。


「お前、俺に楯突く気か？演技しろよ」

笑顔とは正反対の言葉が飛び出してきたが、口調はいつもの朝永さん。

しかも掴まれている手は離さないからなというように、更に力を込められた。

我慢出来なくなって楯突いた。
でも、