Vanilla
「愛佳ちゃん、実家暮らしだから言いづらかったの……ごめんね」

口で謝罪の言葉を出してはいるが、愛佳ちゃんの気持ちが嬉しくて顔が緩んだ。

「何ニヤけてんの！私怒ってるんだからね！まぁでも確かにね、親が居るから言いにくいか」

愛佳ちゃんはそんな私の顔を見ながら憮然そうな顔で溢す。

「住む場所があるなら、まぁそこはとりあえず置いとこう。確かに朝永さん敵ばっか作ってるから、職場に居づらいだろうしね」

話を元に戻すと、話しながら呆れた顔になっていく愛佳ちゃん。
やっぱり誰でもそう思うよね。

「で、ただ彼女を演じることが何でそんな暗い顔になるの？」

今日穂香さんにも大丈夫かって言われたな。
相当顔からモヤモヤが漏れてしまっていたようだ。

「なんか、空しくなって……」

朝永さんのことを思い出すと、また憂鬱な気持ちになって視線を落とした。
そんな自分に気付いて、

「面倒な状況を作ってるのは自分のせいなのにね……あはは」

何故か笑いながら朝永さんが居たら言えない強気な言葉を吐き出すと、乾いた笑いを出す私。
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