Vanilla
何でこんなにもモヤモヤするのだろう……。
私はこんな気分を変えようとお弁当箱の中の冷凍コロッケにパクリとかぶりついた。




「まさかつぐみ、朝永さんを好きになっちゃった?」

「ゴホッ」


愛佳ちゃんから唐突に飛び出した言葉に咽た。
「大丈夫?」と隣にいる愛佳ちゃんは私の背中を擦る。
私は横に置いといた水筒を掴むと、お茶をごくりと一口飲み込む。

「な、何で、そうなるの!?」

落ち着いた後に訊き返すが、焦ったせいか声を大きくなってしまう。


「空しいのは朝永さんの優しい態度が演技だからじゃない?」

「え」

愛佳ちゃんの言葉に目を見開いて固まってしまう私。

それと同時に感じるのは、土曜日の夕方から感じる胸の痛み。
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