Vanilla
「間違えちゃいました……?」

朝永さん、誕生日じゃなかった!?
情報源も穂香さんが聞いた話だし!

焦ると朝永さんがハッとして。


「あってる」

出てきた言葉にホッとしたが、複雑な気持ちにもなる。

昨日誰と過ごしていたのだろう、と。


「いただきます」

朝永さんはそんな私には気付かずに手を合わせた。


まずスプーンを握った。
いつもならビールから一口なのに。


「美味い」

こっちすら見てないけれど、いつもなら言ってくれない言葉をくれて。

目頭が熱くなって、必死に奥歯を噛んで耐えた。

朝永さんはそんな私に気付かずに黙々と食べてくれた。
美味しいと感じて食べてくれていたら嬉しい。
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