Vanilla
「ヤダ——んっ!」


拒否しても、強引に捻じ込んでくる。

私は再び抵抗を試みる。

朝永さんの胸を両手で押して。

だが、いともあっさりと捕まってしまった。

私の両手首を後ろの壁で捕獲された。


「ヤダっ!」

解放された顔を横に背けて、朝永さんの唇から逃げた。

だが、すぐにまた捕まった。

壁に押さえつけていた私の両手首を私の頭上に持っていくと片手で持ち直し、空いた手で顎を掴むと前に向かせてキスを再開させてきた。

目の前の薄ら開いている目からは余計なことをするなと不機嫌なオーラしか感じない。

チーズケーキの味は完全に消え、今はビールの味が微かにする。

私の舌に深く絡まり続ける朝永さんの舌。
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