Vanilla

穂香さん、休みの日まで私のことを気にかけてくれるなんて……！

「予定はありません。ぜひとも予定を下さい」

朝永さんと二人きりで過ごしたくない私は、穂香さんの優しさにじーんと感動しながら即答した。

『おっしゃ！お洒落して集合！愛佳ちゃんも来るから！集合場所はメールする！時間は十時くらい！お洒落忘れずに！』

何故か興奮気味の早口で話すと電話をすぐに切った穂香さん。

朝永さんと日中二人きりで過ごさなく済みそうだが、少し不安が過ぎる。

お洒落して来いと強く言われたし、何故か興奮している様子だったが、何処に連れて行かれるのだろう。


玄関を開くと朝永さんは廊下から居なくなっていた。
リビングに入るとダイニングテーブルに朝永さんは座って携帯を見ていた。
後回しにすると精神的に疲れそうなのでさっさと伝えようと私は朝永さんの前に駆け寄った。


「あのっ、私、今日出掛けますっ。夕飯には帰れるかとっ」