Vanilla
何て反応するかとドキドキした。
朝永さんはチラッと私を見たが、すぐに携帯に戻した。


「あっそ」

いつも通りの素っ気無い返事。

変に緊張した私が馬鹿みたい。
朝永さんは昨日の事は、何も話してくれないのかな……。

気が落ち込みそうになった私はキッチンに向かい、朝食を作ることにした。
何か作業をして、朝永さんのことを考える隙間を作りたくなかったから。

お洒落と言われても、ユニクロのローテーション服しかない……あ、朝永さんに買って貰ったワンピースがあった。
あれ以来、着づらくて着ていなかった。
何処に連れて行かれるのか分からないから、あれを着て行こう。

朝食は食パンと目玉焼き。

いただきますをすると、ご馳走様まで目も合わさず黙々と食べていた朝永さん。
私はその間、何度も朝永さんをチラチラ見てしまった。

朝永さんは昨日のキスについて一切話さなかった。
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