Vanilla
「今日は豪勢じゃん」

部屋着に着替えてこちらに戻ってきた朝永さんがテーブルに並んだ豊富なおかずを見ながら言った。

「色々と、お詫びです」

「で、思い出したのか?」

まさかこのタイミングで訊かれるとは思わなくて、身体を思いきり竦めた。

「な、何で、昨日の夜のことにそんなに拘るんですかっ?」

思い出せない私は目を泳がせながらも問い返した。
すると一瞬でピリッと張り詰めた空気を纏った朝永さん。

「飯冷める。食うぞ」

朝永さんは私の質問を完全に無視して、自分の席に着いた。


確実に地雷を踏んだ模様。


キッチンで冷や汗を掻いていると「早く米出せ」と苛々した声で注文が飛んできて、私は慌てて二人分のお米を茶碗につけるとダイニングテーブルに急いで向かい、テーブルに茶碗を並べた。
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