Vanilla
目を合わせられないが、ピリピリした空気しか感じない……。

そうだ、買っておいたご機嫌とりのビールを出そう!

思い出した私は冷蔵庫に走って缶ビールを取り出すと急いでテーブルに戻る。

「ど、どうぞっ」

朝永さんの目の前に、缶ビールを両手で持ってお納め下さいと差し出すポーズ。
すぐに手からビールが抜き取られる。

「気が利くじゃん」

お?
ちょっと声のトーンが上がった気がする。

私は少し安堵すると椅子に座り、コップに手を伸ばした。
緊張しすぎて喉が渇いた。


「お前は俺に聞きたいこと無いのか?」

お茶に口をつける直前、飛んできた言葉。

私は思わず朝永さんを見た。
朝永さんは真っ直ぐ私を見ていた。

その視線に心臓は勝手に反応する。
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