Vanilla
「私が思い出せないこと、教えて下さい。教えてくれたら、朝永さんに言いたいことがあります」

私は朝永さんが話してくれるように誘導するような言葉を投げながら、朝永さんの挙動を見逃さないように目を見据え続ける。

今の言葉の意味、私を好きなら分かったはず。

だから朝永さんの口から聞かせて下さい。
私の欲しい言葉を下さい。

心の中で念じながら朝永さんの目を見つめ続ける。




「無い。冷めるから食うぞ。いただきます」

だが目を私から逸らしてテーブルの上の料理に向けると手を合わせて淡々と返すから、答える気も無いんだと思ったら、

「お前やっぱり話したいことあるじゃん」

パッと朝永さんの苛立った顔が上がる。

期待を宿しているかのように見える双眸。


もしかしたら、朝永さんはどうしても私の口から言わせたいのかもしれない。
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