Vanilla

「つぐみちゃん!席探してるなら、あっちに席取ってあるから一緒に座ろー!」


そんな無言の攻防戦を繰り広げていたら、近くから飛んできたのは穂香さんの元気な声。
その声に反応した朝永さんは私から視線を外した。

今日こそは朝永さんに勝って、口を割ろうとしたのに邪魔されてしまった。
どうやら社食の列に並んでいた私に気付いた穂花さんが席を確保してくれたらしいが、激しく気まずい。

だって日曜日の穂香さんの態度、朝永さんに対して嫌悪感マックスだった。
絶対、私の隣に居る朝永さんに気付いてないよね?
私が秘密を暴露して以来、朝永さんを毛嫌いしているもの……。


「日曜日はごめんね、朝永君」

何かが起こるかもしれないとヒヤヒヤしながら穂香さんへと顔を向けたら、朝永さんに頭を下げて謝った穂香さん。
どうやらずっと気にしていたようで、謝罪するきっかけが欲しかったから席を取っておいてくれたのかもしれない。

何事も起きなかったことにはホッとした。
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