Vanilla
「はい、行きますけど……」

それがどうしたのだろう。

「お前酒飲みそうだから、行くのは止めろ」

はてなマークを頭に浮かべながら問い返すと、苛立ったような顔と口調で返された。

「だ、大丈夫ですよ!絶対飲みませんから!」

「お前に拒否する権限は無いから」

いやいやいや!

「お祝いのパーティーですよ!?」

「だから?」

前髪で隠れてはいるが、絶対に眉間には皺が寄っているに違いない苛立ちマックスの顔。
日曜日のことを考えれば、そんなにも苛々させてしまう理由は分かるけども、

「絶対飲みませんから!」

お世話になっている先輩の婚約パーティーなんですよ!?
それに私だって、記憶を失うなんてもう懲り懲りだし!

「月曜の朝、酒飲んでないって言い張ってたの、どこの誰だったっけ?」

そ、それを言われると、ぐうの音も出ません……。
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