Vanilla
「朝永さんっ!」


社食を出たところで、思わず朝永さんを止めた。
足をやっと止め、私の腕を離して振り返った朝永さんは苛々した顔。


「今日の朝永さん……いつもと違いますけど、良いんですか……?」

甘い朝永さんは気持ち悪いが、突然素を出されても気味が悪い。

「演技すんのも疲れたし、そもそもお前がパートナーじゃ、結局女が言い寄ってくるから無意味だと気付いた」

「……」

どうせ私は役不足な平凡以下の女ですよ。

「それよりも、勝手にパーティーに不参加にしないで下さいよ」

苛々させられて、低い声で反抗にかかる。

「お前、アイツに騙されて飲まされたのに警戒しろよ」

更に低い声で被せてきた朝永さん。
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