Vanilla
次の日の木曜の朝の十一時。
私はコインランドリーで洗濯をしていた。
仕事には行っていない。
有給を使った。

昨日はあれからまた駅前の漫喫で寝泊まりした。
携帯は会社に休みの連絡を入れた以外は電源を切っていた。
だって朝永さんから連絡すらこなかったら虚しい。

私が突き離したのに、心配して欲しいと思ってしまう矛盾しかない心。
恋とは本当に恐ろしい。

目の前のゴウンゴウンと回る洗濯機を座って眺めながら、ハァーと深い溜め息を吐いた。

こんな生活を続けるのはキツい。
とりあえずアパートを探しに行かなきゃ。




次の日の金曜日。
ついに今日は穂香さんの婚約パーティー。

昨日も漫喫で眠った。
月曜日からは絶対に出勤するから、今日までは現実から逃げさせてもらおう。
会社に電話をしようと昨日の朝ぶりに電話の電源を入れると、愛佳ちゃんのLINEのメッセージが目に飛び込んだ。

『朝永さんに連絡してあげて!』

その名前にドキッとしたが、気付かないフリをして会社に連絡した。
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