Vanilla
「お前、俺が言ったこと、また忘れたのかよ……」

朝永さんが呆れた顔で溜め息を吐いた。

その反応に自信がついた。

「忘れました。だから教えて下さい」

「は!?」

私はわざと惚けてみた。

朝永さんはそんな私を見ながら眉を顰める。

その顔のまま、暫く黙り続ける朝永さん。

卑怯な男。
言うだけじゃない。
この捻くれ者!

「では私は今日は部屋探しに行きますね……」

わざと悲しそうな顔を作ってみせた。

「ずっと居ろって言っただろ!」

焦った様子で手を掴まれた。
その顔に申し訳なさよりも嬉しさが込み上げる。

「居ます。ずっと」

大満足した私は笑顔で返した。

やっぱり朝永さんは可愛い。


スープを飲み終わると身体のベトベトが気になった。
昨日お風呂に入っていないし、長い時間朝永さんに好き放題されたから。
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