Vanilla
「乾かして」

お風呂から出てきた朝永さんはドライヤーを私に向けた。

朝永さんの髪を乾かした後、私もお風呂に入った。

お風呂から出て、ドライヤーを終え、緊張しながらリビングに戻ると珍しくテレビがついていた。

「座れば?」

私に気付くとソファーの空いている朝永さんの隣をぽんぽん叩く朝永さん。

私は静かに腰を下ろす。

「観たいテレビあるか?」

「な、無いですっ」

朝永さんに訊かれ、ブンブン首を振った。

朝永さんはバラエティ番組を観ていた。
こういうの、好きなのか。
でもゲラゲラ笑う朝永さんが想像出来ない。

暫くテレビを見ながら、たまに横目で朝永さんの様子を窺っていたが、朝永さんはクスリとも笑わない。

私達はテレビから漏れてくる笑い声を静かに聞いていた。

「寝る?」

「そ、そうですねっ」
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