Vanilla
「付き合って無いんじゃなかったの?」

朝永さんに反抗は許されない。
だけど、付き合ってますとは言いたくない……。
それに今、ここには朝永さんは居ない。
演技をする必要は無い、よね……?

「どうなんでしょう……」

笑って誤魔化して言葉を濁すことにした。
あやふやな状態にしておけば、怒られはしないだろうと思ったから。

それにしても今日も視線ばかり感じる居心地の悪い会社。
いつになったら解放されるのだろうか。
なんて考えながらオフィスの自分のデスクに向かっている時だった。

「おはよう」

杉森さんに挨拶を掛けられて昨日の出来事を思い出した。
杉森さんに告白されたことを。
昨日色々ありすぎたせいだ。

「え、と、あの、おはようございますっ」

とりあえず挨拶を返そうとしたが、緊張で口がうまく動いてくれない。

「俺、諦めないから」

真っ直ぐ伝えられると胸がトクンと跳ね上がる。
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