俺様上司に、跪いて愛を乞え〜彼目線〜激甘編を追加
「え、帰れって……」
驚いたように見るのに、
「いいから、帰れよ」
と、くり返す。
「……でも、」
困ったようにも俺の方をじっと見たままでいるのに、
「帰れと、言っている。そんな寝ぼけた奴にいられたら、会社の士気が下がるんだよ!」
ついきつい言葉を投げつけた。
こいつと話していると調子が狂う。俺の思考を乱すなよ、これからプレゼンの用意があるのに、これ以上煩わせないでくれと感じる。
瞳に涙を滲ませて堪えるようにぐっと唇を噛む彼女に、
「泣くとか…うっとうしいんだよ! 仕事の邪魔になるから、とっとと帰れ!」
俺は、冷酷とも言えるセリフをもう一度叩きつけた。
「…は、はい!」
と、カバンを抱えるようにして走り出て行く後ろ姿を見つめながら、
またか…と、思っていた。
また俺は、傷つけるような真似を……なぜ、もっと労わるようにも声をかけてやれない。
自分自身をまたしても嫌悪しそうにもなって、(……これが俺なんだから、仕方がないだろう)と、思い返した……。