恋・愛至上命令。
夕方は車の通行量も増えて、道路は緩い渋滞を途切れ途切れに繰り返す。
凪が無口なのはいつものこと。話したいことがあれば気にしないで話しだすし、『凪はどう思う?』って無理やり聞き出したりもする。

「そう言えばね。同期の子が彼氏とケンカして、別れたら誰か紹介してくれって。歳上で好い人いない?」

隣りを見やれば、一瞬だけハンドルを握ってる凪の横目がわたしを捉えた。

「堅気のお嬢さんに紹介できるような相手は、私にはいませんよ」

「じゃあ、わたしになら紹介できるってこと?」

「・・・・・・瀬里お嬢なら尚更でしょう」

低く透る声で凪が言った。

なにか気に喰わない時とか、云いたいことを抑えてる時は『お嬢』になる凪。
我慢なんかしないで、もっと本気の感情をぶつけてくればいいのに。

歯がゆくなって困らせて怒らせてみたくなる。
意地悪を言って、無性に凪を傷付けたくなる。

ポーカーフェイスを歪ませて。苦しむ凪が・・・見たくなる。
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