黒薔薇の命約


そもそもラディンが第三騎士団団長になったのも特殊なことであった。


ラディン自身は腕に覚えはあるものの、特に野心家というわけでもなく。

単純に国を守りたかっただけだし、学問関係には全く素質がなかったので、騎士団に入った。



ある偶然から皇太子殿下と知り合いになり、気が付けば、引退した前団長の後任に推されていたのだ。


云わば皇太子の独断でいきなり団長という地位に着かされたラディンは、抗議をしてきた連中を全て腕試しで放り投げ――貴族との付き合いも知らぬまま団長という地位に着いてしまった。



―――相手が殿下でなければ絶対に団長なんて引き受けなかった



ラディンは今でもいきなりの人事について根に持っている。



それでも、彼は皇太子のことを敬愛してるが故に、団長として、自分の責務を果たそうと努力し、自制している。



――目の前に座るコイツには当たりまくってるけどな――



とりあえず、今日もムカつく官僚達を殴ることはしなかった。



机は破壊されたが。



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