君を借りてもいいですか?
しばらくして亜矢が戻ってきたが、その表情は険しかった。

そして私の顔を見るなり手を合わせる。

「栞ごめん。私今から会社に行かきゃいけなくなっちゃった。後輩がミスしちゃったみたいで…」

「いいって。それより荷物もあるし気をつけてね」

「ありがとう…そうだ!忘れるところだった。はいこれ」

亜矢が私の前にシルバーの缶を置いた。

「これ凄く美味しい紅茶。飲んでみて。それと…」

亜矢が財布からお札を取り出し、私に手渡す。

「これで払っておいて。お釣りはいいよ。今度また飲み行こうね。じゃあ」

亜矢は慌ただしく店を出て行った。

そして一人になった私。

とりえず今グラスの中のビールを飲んだらもう1杯おかわりして帰ろう。

そしてバーテンダーさんにオーダーをして、出来るまでの間にお手洗いに行こうと席を立った。

すると足元でバタッと何かが倒れる音がした。目を向けると白い大きな紙袋が倒れていた。

それは私の隣の席の男性のものだった。
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