君を借りてもいいですか?
本当にどうかしている。

なんで私は頷いたんだろう。

翌日、私はアパートから必要最低限の荷物を持って湊人の住むマンションにやって来た。

そして湊人からもたったスペアキーを使い部屋に入った。

昨夜、掃除をしたけど完全ではなかったので、荷物の入った小型のキャリーを玄関先に置くと早速掃除を開始。

ベランダ側の窓は私のアパートの何倍も大きく、カーテンなんて自動で開け閉めできる。

「うちの図書館でも手動なのに」

出てくる言葉は妬みなのか憧れなのか…正直よくわからなくなっている。

空気の入れ替えをするため窓をあけベランダに出てみる。

さすが高層マンション。

ここから見える景色は昨夜とは全く違い、雲がとても近く感じ、思わず手を伸ばしてしまった。

ってそんなことをしている場合じゃない。

昨日の続きをして、夕飯は湊人がたくさん買って来た食材で何か作ろう。

腕まくりをしてゴミ袋を用意した。すると着信音が鳴った。

ポケットからスマホを取り出すと、亜矢からだった。
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