君を借りてもいいですか?
この日、ここで暮らすようになって3日目に偶然二人の休みが重なった。

私が洗濯ものを干してると、湊人が近づいてきた。

「俺も手伝うよ」

「え?いいの?」

「もちろん。だって栞は家政婦さんじゃないし、俺ができることは手伝いたいんだ」

湊人は洗濯物の入ったカゴの中から服を取り出すと私の真似をしながらパンパンと皺伸ばしをする。

私がやるとそれに続けとばかりに真似をする。その姿が何だか面白可愛くて顔がにやけてしまう。

「ん?どうした?」

「ううん何でもないよ」

笑わないように唇を軽く噛む。

「いや、何でもなくないだろ?俺何か変なことした?」

「何もしてないよ。手伝ってくれてありがたいっていうか……」

だけど湊人の疑いの目は向けられたまま。するとカゴの中から何かを取り出す。

「ちゃんと言わないと…これ俺が干すよ」

そういって私に見せたのは私のパンツ。しかもお気に入りのピンクのレース。

「ちょ、ちょっと返して。恥ずかしい」

手を伸ばそうとすると湊人が私のパンツを持って腕を上げる。

身長差があり私では絶対に取れない。もう恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

「返して欲しかったら笑った理由を教えてよ」

「え?……もう、お願い返して」

「じゃあいえよ」

「だからそれは…」

可愛いなんて言ったら不機嫌になるかもしれないと思うとやっぱりいいづらい。
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