きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

ケヤキ並木の青山通りを一人で歩きながら、ここ最近の「暮らしぶり」を思い返す。

愛想のよい王子さまスマイルで、シンちゃんは今やご近所のオバサマたちの「アイドル」となっていた。

山田のおばちゃんなんか、大好きな大衆演劇を観るために浅草へ出る回数が減ったとまで言っているくらいだ。
『シンちゃんを見てるだけで目の保養だわよぅ』ということらしい。

おかげさまで、シンちゃんを「伴侶」としてゲットしたわたしまで『よくやった!』とやんやの喝采だ。


しかし……

『……このまま、あの人たちにウソをついてることが心苦しいな』

とうとう、シンちゃんが沈痛な顔でそう言うようになった。

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