きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

『……そうですよね。だったら、そろそろ……』

わたしが申し訳なさと居たたまれなさから「終わりにしましょう」と言いかけたら、シンちゃんは、わたしの言葉をさくっと遮って、きっぱりと言い切った。

『だから、もっと「本物の夫婦」に見えるように、僕も櫻子も努力しないとね』

『……はい?』

そして、唖然とする顔のわたしをきゅっ、と抱きしめたのだ。

明らかに、この前された「ふんわり」した「ハグ」よりも、バージョンアップされていた。

それ以降、わたしはシンちゃんから、朝起きたとき、出勤するとき、帰ってきたとき、夕飯前、夕飯後、お風呂上がり、就寝前、と頻繁に抱きしめられるようになった。

しかも、「初めて」のときには「ふんわり」だった「ハグ」が、明らかに日を追うごとに、

きゅっ→ぎゅっ→きゅーっ→ぎゅーっ、

というふうに、わたしを抱きしめる「強度」が増していってるような……?

真生ちゃんにはこっ恥ずかしくて、口が裂けても言えなかったけれども、『新婚さん感』を出すための『おいおい慣れていかなければならない』ことを、シンちゃんは着々と実践していた。


……そして、その最たるものが。

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