きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
一人残された応接間で、ローテーブルの上のペアのマグカップを見つめた。
シンちゃんのがパステルブルーで、わたしのがパステルピンクという、ベタ過ぎるくらいこっ恥ずかしい代物だ。しかも、互いのカップを合わせると、取っ手の部分がハートの形になる。
わたしはいい歳して、こんなものを買うのはちょっと…と躊躇したが、シンちゃんはお構いなしに手にとってレジへ向かって行った。
ほんの、数週間前のことなのに……なんだか、ずいぶん前のような気がする。
あのあと、シンちゃんはしばらく呆然と突っ立っていたような気がするが、
『ごめん、櫻子……もう行かなくちゃいけないんだ。その話は……帰ってからゆっくり話し合おう』
腕時計を見ながらそう言って、結局はあわただしく家を出て行った。
今にして思えば、シンちゃんは初めから「行く気」だったのだ。
だって……そもそもスーツを着ていたのだから。
もともと、わたしと今日一日過ごすつもりはなかった、ということだ。
それに、わたしに対しては、いつもどこか遠慮がちな言葉遣いなのに……先刻の通話では、結構ぞんざいな口調で話していた。
きっと、普段は……
「あおい」さんには……そんなふうに話すのだろう。
一人残された応接間で、ローテーブルの上のペアのマグカップを見つめた。
シンちゃんのがパステルブルーで、わたしのがパステルピンクという、ベタ過ぎるくらいこっ恥ずかしい代物だ。しかも、互いのカップを合わせると、取っ手の部分がハートの形になる。
わたしはいい歳して、こんなものを買うのはちょっと…と躊躇したが、シンちゃんはお構いなしに手にとってレジへ向かって行った。
ほんの、数週間前のことなのに……なんだか、ずいぶん前のような気がする。
あのあと、シンちゃんはしばらく呆然と突っ立っていたような気がするが、
『ごめん、櫻子……もう行かなくちゃいけないんだ。その話は……帰ってからゆっくり話し合おう』
腕時計を見ながらそう言って、結局はあわただしく家を出て行った。
今にして思えば、シンちゃんは初めから「行く気」だったのだ。
だって……そもそもスーツを着ていたのだから。
もともと、わたしと今日一日過ごすつもりはなかった、ということだ。
それに、わたしに対しては、いつもどこか遠慮がちな言葉遣いなのに……先刻の通話では、結構ぞんざいな口調で話していた。
きっと、普段は……
「あおい」さんには……そんなふうに話すのだろう。