突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
「……ま、君はもうすぐ『転勤』だからねぇ。
だれか適当な男を捕まえて、都心に残りたい気持ちもわからなくはないけど。確かに分館はサラリーマンたちが入れ食い状態だもんね?」
……はあぁっ!?
わたし、あなたが分館に来ている姿、一度も見たことないんですけど!?
「君のことは、本館で受け入れられなくて申し訳ないとは思ってるからさ。その点は『理解』してるつもりだよ?……だからさ、クレームが来ない程度に、それとなーくやってよ」
……はああぁっ!?
ちょっとっ、わたしも真生ちゃんも「完全否定」なんですけどっ!?
「時間は差し迫ってるかもしんないけど、井筒さんは美人だしさ。
……あ、今はこういう褒め言葉もセクハラになるんだっけ?……いやいやいや、悪気はまーったくないんだ。頼むから、役所のコンプライアンス担当に報告するのだけはやめてくれよ?」
……はあああぁっ!?
夕方が近づいてくるとだんだん微妙に角度が変わっていく、あなたが頭に乗っけてるモノ以上に、話がズレてきてるんですけれどもっ!?
図書館内だけじゃなく区役所内で、綿貫館長の「被りモノ」がバレていないと思っているのは、綿貫館長だけだった。