きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

「ねぇ、シンちゃん。
どうして萬年堂の営業マンじゃなくて、社長さんの息子で専務さんだということを、わたしに言ってくれなかったの?」

わたしはシンちゃんを見据えて、そもそも気になっていたことから、訊いてみることにした。

「シンちゃんは、そんな大事なことも言えないようなわたしと……本当に、結婚する気なの?」

シンちゃんの端正な顔が、苦しそうに歪んだ。

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