きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「僕が最初から『本当のこと』を言っても……あんなふうに心を開いてくれた?」
あんなに魅惑的だったはずのシンちゃんの目が、
「自分で言うのもなんだけど、うちの家が代々、世間的には社会的地位があって、経済的に恵まれた環境にあるのは確かだからね。
それを知っていたら、櫻子はきっと、
『自分とは世界の違う人だ』
って思い込んで、あんなふうに自分のことをなんでもかんでも話してはくれなかったでしょ?」
今はただ、虚ろにぼんやりとわたしを映しているだけだった。
「ほかのだれにそう思われたって、別に構わないけどね。櫻子だけには……そうは思われたくなかった」