きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「さくらこ」さんへの想いはこの二年間で、とんでもなく膨れ上がっていた。
どんなに会社でイヤなことがあろうとも、図書館へ行って彼女が同僚へ向けて穏やかに笑う顔を拝めれば、もやもやしたやるせない気持ちはラララ星の彼方へぶっ飛んで行った。
各方面からの見合い話は写真を見るまでもなく、速攻で断っていた。
彼女がどんな人なのか、ほとんど知らないのに、
「結婚するなら彼女がいい」
とまで思うようになっていた。
我ながら、いい歳曝してヘタレ極まりないし、なんだかストーカーじみていて、他人が聞いたら、
「こいつ、危ねぇんじゃねえの?大丈夫かよ?」
と思われるだろうけれど(実際、僕も他人事ならそう思う)
でも……この気持ちは止められない。
今日もひたすら耳をダンボにして、カウンターで真面目に業務を遂行している「さくらこ」さんの「動向」を探る。