きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

「でも、あたしは、絶対に、原さんが怪しいと思います。彼の役職なら、センターに登録してる情報に照会すれば、櫻子さんの家電(いえでん)の番号も住所もわかるんじゃないですか?
それに……櫻子さんのスマホの通話とかメールやLINEなんかは大丈夫なんですよね?」

わたしは肯いた。

「原さんに携番やメアドやLINEのIDとか教えてませんよね?」

そう問われて、わたしはふと思い出した。

「そういえば……原さんに食事へ連れて行かれたときに、しつこく教えてほしいって言われたんだけど……きっぱりとお断りしたのよ」

「……やっぱり、ね」

我が意を得たり、と真生ちゃんが大きく肯いた。

「『犯人』はなんとなく特定できたけど、この程度のことじゃ、警察は動いてくれないだろうしなぁ……なんとか『対策』を考えなきゃ」

真生ちゃんが腕を組み直して唸った。


そのとき、カウンターの上に、すーっと本が差し出された。

「お客さん」だ。めずらしい。
わたしはすぐさま、貸出業務の体勢に入った。

……が。

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