きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜

だけど、考えてみれば……

わたしたちが勝手に原さんを「ストーカー犯」に見立てているわけで……

本当にそうなのかは、まだわからない。
もしかしたら、違うかもしれない。

そもそも、わたしが受けている「ストーカー行為」っていうのも……

気のせいだったかもしれないじゃないか?


「……櫻子さん」

不意に、隣から低く押し殺した声が聞こえてきた。

「来ましたよ……気をしっかり持ってくださいね」

真生ちゃんはスナイパーを通り越して、ヒットマンの鋭い目になっていた。

だけど、わたしはそんな真生ちゃんのおかげで、自分に都合のよい「現実逃避」の世界から、はっと目が覚めてこの世界に戻ってこられた。

原さんがつかつかと(せわ)しなく、カウンターまで一直線に向かってきていた。

< 85 / 272 >

この作品をシェア

pagetop