きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
だけど、考えてみれば……
わたしたちが勝手に原さんを「ストーカー犯」に見立てているわけで……
本当にそうなのかは、まだわからない。
もしかしたら、違うかもしれない。
そもそも、わたしが受けている「ストーカー行為」っていうのも……
気のせいだったかもしれないじゃないか?
「……櫻子さん」
不意に、隣から低く押し殺した声が聞こえてきた。
「来ましたよ……気をしっかり持ってくださいね」
真生ちゃんはスナイパーを通り越して、ヒットマンの鋭い目になっていた。
だけど、わたしはそんな真生ちゃんのおかげで、自分に都合のよい「現実逃避」の世界から、はっと目が覚めてこの世界に戻ってこられた。
原さんがつかつかと忙しなく、カウンターまで一直線に向かってきていた。