きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「すっ……すごーいっ、葛城さんっ!」
原さんを見事「撃退」した「勇者」シンちゃんを、真生ちゃんは拍手でもって讃えた。
「ありがとう、シンちゃん」
わたしも、ホッとして気の抜けた顔でお礼を言った。
「葛城さんの『櫻子』呼びもさることながら、櫻子さんのその『シンちゃん』呼びがよかったですよー。まさか、葛城さんが頼まれた『夫』だなんて、だれも思いませんよぅ!」
真生ちゃんが、うんうん、と肯く。
わたしは人前で呼んでしまっていたことに、今さらながらこっ恥ずかしさで死にそうになった。
「……だろ?櫻子にはもうずっと、そう呼んでもらってるからね。でないと、とっさには出ないからね」
シンちゃんは得意げに、にやり、と笑う。
ほんの少しばかり黒い笑みにも見えなくないのに、やっぱりイケメンは得だ。
セクシーさがダダ漏れなだけだ。