今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
水瀬さんからOKの返事なんて、貰える日が来るんだろうか。
それよりも東京で再会した2人がよりを戻してしまう確率の方が遥かに高いのではないか。
実家に帰ってからもその不安は消えず悶々と考えているうちに年は明け、還暦を目前とした両親の体の不調と愚痴を聞いたりしていたら3が日も終わり、あっと言う間に東京へ戻る日になった。
「体に気を付けなさいよ」
「お母さんも」
「この次に帰って来るときは、彼氏の1人でも連れておいで」
「ガンバリマス……」
「あんたは子供の頃からポーとしてるからね、心配だわ。コレだと思う男がいるなら他人を押しのけてでも首に縄を付けなさいな。お母さんだって、数あるライバルを蹴倒してお父さんを自分のものにしたのよ」
そうだったの!?
お母さんって意外にも肉食系だったんだ。
しかし、話してないのに好きな人がいるってバレてるし、片思い中なのも勘づかれているし、自分のものにできなくてあくせくしているのも分かっているのね。
さすがというべきか、母は偉大だ。
「じゃぁ、また夏にでも帰るから」
手を振るお母さんをバス停に残し、ほんの少し離れがたい気持ちを引きずりながら東京へ向かう。途中、新幹線を待つ間に昌也やユリヤ、彩さんたち同僚、それから水瀬さんにもお土産を買って。
行きよりもかなりパンパンになったスーツケースを引きずりながら東京駅を歩いていると、偶然にも水瀬さんを見つけた。向こうは気が付いていない。
このタイミングで会えるなんて奇跡? 運命?
「――――水、」
だけど、声を掛けようとして躊躇った。
隣に柴咲さんがいたからだ。