今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。


柴咲さんのところに忘れてきたという腕時計。

それを受け取ったとき、水瀬さんは何か思ったの? 何も思わなかった? 

嫉妬で頭がおかしくなりそう。


「私と藤原はタクシーで帰りますので、水瀬さんは彩さんをお願いします」

「何言ってる? 高木1人でそいつを送るのは無理だろ」

「大丈夫ですよ、私こう見えて力ありますし、藤原も少し休めば起きると思いますから」

「遠慮すること、」

「遠慮してません!」


きっぱり言い張った私に、水瀬さんは少し驚いたように目を丸めた。

肩を貸し立たせている彩さんの腕が、だらりと垂れ下がる。


「私たちのことはお気になさらずに、彩さんを送ってあげてください。結構飲んでいたので、早く休ませた方がいいと思います」

「ああ……分かった」


お人好しな水瀬さん。

飲み過ぎた同僚から連絡があったからってすぐに駆け付けてあげるんだ。そこに部下もいたら、一緒に送ると言うんだ。当然にように面倒をみるんですね。

好きでもないくせに。

好きになってもくれないくせに。

かき乱される心をどうすればいいですか。


教えてください。

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