今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。


カフェの前で藤原と別れたあと、会社へ向かう途中の信号待ちでスマホをチェックすると、ラインが届いていた。


【年末はどうするの?】

【帰るよ】

【新幹線のチケット、買いに行く暇はあるの? 無いならお母さんが買って送ってあげるわよ】

【お母さん、今はスマホでチケットが買える時代だよ。心配しないで大丈夫だから】


親からすれば、いつまで経っても子供は子供なんだろうなぁ…。

有り難いけどお節介が過ぎる母に苦笑しながら、ふと。

水瀬さんは年末年始、どうするのだろうと考える。

帰省はするだろうけど、そもそも彼の地元ってどこなんだろう?



「それを聞いてどうする?」

「どうもしませんけど、参考程度の教えてくだされば」

「参考程度ね……」


始業前のほんのわずかな時間、喫煙室に向かう水瀬さんを捕まえて聞いてみたけれど、案の定というべきか軽くあしらわれてしまった。

何度見てもいいなと思う煙草を咥える横顔が、ほんの少し引きつっている。


「なるほど、俺の地元を教えれば良い企画が書けると?」

「え?」

「来春向けの新商品とイベントの企画。提出してないのは高木だけだぞ」

「あっ、」


どうしよう、すっかり忘れてた!

いやいやここのところ色々あってですね、他の仕事も抱えてましたし、提出期限だってもう少し余裕があったはずですし……。

そんな言い訳を口に出したところで、水瀬さんから発せられる氷のような視線が常温に戻ることはない。

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