今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。


「え、オッケーしてくれたんですか? 案外、水瀬さんもちょろいですね」

「しっ! 声が大きいよ」


昼休み。社員食堂にいたあずちゃんを捕まえて報告すると、彼女は意外そうな顔をした。自分が誘えって言ったくせに。

さては、絶対断られると思っていたな…。


「良い企画が書ければ、だけどね」

「いいじゃないですか! 私手伝いますよ」

「ありがと。でも無理しないでね、退職前の引継ぎ作業で忙しいでしょ」

「それが、案外大丈夫なんですよ。水瀬さんが随分減らしてくれたので」

「へぇ……」

「何ですか、その、私の男は優しくて気が利くのよ、みたいな顔」


え、そんな顔してないけど!?

ただやっぱり水瀬さんは良い上司だなぁ、身重のあずちゃんに負担を掛けないようにしてくれるなんてさすがだなって思っただけなんだけど!

そう伝えたところ、はいはい、と肩を叩かれてしまった。







「あれ、高木さん今日も残業?」

「はい」

「ここのところ毎日だよね。今日くらい早く帰れば?」

「ありがとうございます、でも少しだけ」


帰り支度をしている同僚が、そう? と心配そうに眉根を下げる。手伝ってあげたいけど、今日は早く帰りたいって顔。当然ですよ、だって今日は――。


「森さん早く帰らないと、奥さんとお子さんが待ってますよ」

「あぁ、そうだね。じゃぁ、お疲れ」


お疲れさまです、と挨拶して短い溜息を落とした。

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