マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「かんぱーい」とグラスを掲げられ、私も慌ててペットボトルを持ち、グラスと合わせる。
お酒の匂いがフッと鼻を掠める。
だいぶ深い酔っ払いだ。
「えーと、せづきちゃん。せづきちゃん!…ゆらのババですぅー。これからもよろしくねー」
「は、はい!わ、私こそよろしくお願いします!」
頭をペコペコ下げると、菊乃さんはへらっと笑っている。
「いやー。ばあちゃん、本当に嬉しいの。ゆらにもちゃんとした女の子の友達がいたんだなぁ…なんてー。ゆらが『仲間だよ』って紹介する女の子の友達、初めてなのぉー!」
「…え?」
そう…だっけ?
友達、いなかったっけ?
…と、言われてみれば。横川さん、女子と歩いているの見たことないかも。
私は部活中の洗濯室や器材庫で会って立ち話をするぐらいで…。
それ以外は、一人か…蓑島くんと一緒にいるかも。
「私が言うとバババカになるけど、ゆら、あの子物凄く可愛い美人ちゃんでしょー?あ、あの顔は死んだ婿さんそっくりの美人顔なのよー!間違っても母親である私の娘の顔ではない!うっふふー」
「…え?死んだって…」
「加えてあんなツンとした悪い態度だし、いつも女の子に妬まれてケンカして…ゆら、うちにお友達連れてきたことなくてね…」