マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「…あ、とみちゃんち、あっちのバス停のすぐそこだけど、行ってみる?電話してみっか」
「え…ち、ちょっと!」
ダメ!…今日、蓑島くんちに行くだなんて、斗弥子は知らない!
しかし、制止する間もなく蓑島くんはすでに自分のスマホで電話をかけてしまっていた。
秘密にしておいたわけではなく、ただ、言うタイミングを逃しただけなんだけど。
昼休みは球技大会の練習があって、なかなか話せない日々が続いてた。
「…あ、とみちゃん?俺だよ俺。…オレオレ詐欺じゃないよ?…」
あぁ…繋がってしまっている。
なぜか罪悪感たっぷりで、その通話の終了を待つ。
『星月がうちに遊びに来てるんだ』とか、ばっちり言っちゃってるよ…。
「ふーん、わかった。…じゃあ、明日ねー」
スマホを耳から降ろして、通話終了ボタンを押している。
「とみちゃん、ヒロくんとデートで街にいるんだって。星月によろしく言っとけってさ」
「あ、そう…」
なぜかホッとしてしまう。
しかし、よろしく言っとけって…恐い。
横断歩道の赤信号を見つめながら、その意味を考えてしまう。
斗弥子に、話さないとな…。
(………)
…いや、話したいことがある。