マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「えっ…」
それは、本音?
それとも、リップサービス?
その意味深な発言に、いちいち反応してしまう。
いちいち胸も高鳴ってしまう。
「…だって、俺の部屋に連れてってなかったじゃん」
「…え?」
「何だか忙しくてね。隙を見て、星月を部屋に連れていこうと思ってたのにさ。俺の部屋で誰にも邪魔されずイチャイチャしたかった」
「………」
それは…。
本音でも、リップサービスでもない。
ただのエロ欲望だった。
「…忘れていてくれて、結構でしたけど?」
「えー?俺の部屋でイチャイチャしたくなかった?」
「初来訪で、そんなこと出来るか!」
所詮、このスケベ男にかかればこんなもん…。
そうこう言い合っているうちに、バスが来た。
バスが停まって、乗降口のドアが音を鳴らして開く。
「じゃあ、また明日」
背を向けてバスに乗ろうとしたが。
「………」
蓑島くんは…手を離してくれない。
それどころか、私の手を握る力は強くなっていて。
「…蓑島くん?」
「………」
そう言うと、力がスッと抜かれ、手がハラッと離れる。